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よくある質問

監修:
群馬大学名誉教授
黒沢病院予防医学研究所所長
山中 英壽 先生
協力:
黒沢病院予防医学研究所
熊坂 文成/加瀬 嘉明

分からないこと、不安に思うことなど、よくある質問に専門医がお答えしています。

検査・診断

Q.家族に前立腺がんにかかった人がいる場合でも、検査は年に1度でよいのですか?

A.前立腺がんは、発生してから10~20年くらいの期間は、進行がゆるやかですから、家族に前立腺がんにかかった人がいる場合でも、早めの40歳から毎年1回、必ずPSA検査を受けていれば、過度に心配する必要はないでしょう。ただ、1種類で完璧な検査方法はありません。PSA検査だけでは発見できないがんも15~20%は存在しますから、前立腺がんになりやすいと心配な場合は、直腸内触診、画像検査(経直腸的超音波《エコー》検査、前立腺MRI検査)などと組み合わせた検査を泌尿器科専門医で受けるようにするとよいかもしれません。

Q.早期発見と発見が遅れた場合では、その後の治療や予後にどのような違いがあるのですか?

A.早期発見の場合は、内分泌療法や放射線療法、前立腺全摘除術など治療選択肢も多く、根治する可能性が高くなります。一方、発見が遅れた場合は、治療の選択肢も少なくなり、根治が難しくなります。前立腺がんは早期発見に努めることが大切です。50歳を過ぎたら年に1度はPSA検査を受けましょう。

Q.疑いがある、と言われてから精密検査が始まるまで1ヵ月近く待っています。もしがんであれば、この間に、がんが大きくなりませんか?

A.いちがいには言えませんが、前立腺がんは多くの場合、発生してから最初の10~20年は生長が遅いのが特徴です。もし、毎年、定期的に検査を受けていて、前年には異常がなかったのであれば、今回の異常ががんであったとしても、一刻を争う事態とは考えにくいと思われます。しかし、あなたの健康に関わる問題ですから、できるだけ早く精密検査を受けたいと希望されるのであれば、対応してくれる医療機関を積極的に探してみてもよいかもしれません。

Q.検査結果を聞きにいきます。心構えや、持っていった方がよいものなどありますか?

A.検査結果を聞きにいかれるということは、生検を受けられたのだろうと思います。結果に問題がなければ、晴れ晴れしい気分になれますが、がんと言われると、やはりショックで頭の中が真っ白になり、医師の話が耳に入らなくなってしまうかもしれません。しかし、前立腺がんと確定診断が下っても、もちろん、それですべてが終わってしまうわけではありません。むしろ、臨床病期(進行度)を決定する検査を受け、治療法を検討・選択するなどの次のステップの始まりといえます。がんと言われて、すぐに冷静に考えられないのは当然のことですが、医師からの説明や情報は、できるだけ聞き逃さないようにする心構えでいることが大切です。気持ちが落ち着いてきたときに、治療に対する希望や意見を固めるうえで役に立つはずです。ですから、医師からの説明の内容についてはメモをとっておくか、家族や友人に一緒に聞いてもらうとよいのではないでしょうか。また、わからないことがあれば、きちんとわかるまで聞くようにしましょう。

Q.前立腺がんの検査は保険でできますか?

A.人間ドックなどの健康診断では、健康保険の適用対象外ですので自己負担となります。在住している(住民票がある)自治体が前立腺がんの集団検診を実施している場合、保険ではなく自治体の補助を受けて検診を受けることができます。実施の有無や自己負担額については、各自治体や加入している健康保険組合に問い合わせてみてください。上記のような健診や検診で、PSA値が高いなどの異常が発見されて精密検査を受ける場合や、前立腺がんが疑われる自覚症状があって自ら医療機関の検査を受ける場合は、一般診療となり、医療保険が適用されます。

Q.体毛が濃く、顔は脂分が多いので、男性ホルモンが多いと思います。男性ホルモンが多い人は、前立腺がんになりやすいと聞きますが、頻繁に検査を受けたほうがよいでしょうか?

A.体毛の濃さや顔の脂分の多いのは男性ホルモンが多いからということはありえますが、男性ホルモンが減り始める50歳代に前立腺がんになりやすくなることからも分かるように、がんの発生は、単純な男性ホルモンの量の多さではなく、ホルモンバランスの変化によると考えられます。ですから、ご相談の内容に関しては、特別に頻繁な検査が必要なケースとは考えられませんが、ご心配でしたら、50歳未満であっても、検査を受けてみるとよいのではないでしょうか。異常がなければ、年1回の検査を続けるだけで十分だと思われます。

Q.転移があるかどうかはどのように調べるのですか?

A.転移があるかどうかは、レントゲン単純写真、CT、MRI、骨シンチグラフィーなどの検査によって調べます。CTとMRIは前立腺がんの所属リンパ節や前立腺に隣接している臓器への浸潤、肺や肝臓のような離れた遠隔臓器への転移を調べるのに行われます。また、前立腺がんは骨に転移しやすい性質があるため、骨シンチグラフィー、骨単純X線写真によって骨への転移の有無を調べます。

Q.PSA値が高いといわれたのですが、触診がイヤでイヤでたまりません。何とか避けられませんか?

A.直腸内触診は前立腺がんの診断に必要な検査のひとつです。直腸内触診を受ける必要があるかどうかは、主治医とよく相談してみてください。

Q.特に自覚症状などはありませんが、検査を受ける必要はありますか?

A.前立腺がんの特徴として、早期には自覚症状がほとんどありませんが、症状が出たときにはすでにがんが進行していることがあります。前立腺がんを早期に発見するためにも、また、がんでないことを確認して安心していただくためにも、特に自覚症状がない場合でも定期的に検査を受けることが大切です。また、50歳を過ぎると前立腺がんの患者数は増えていきますので、年に1度はPSA検査を受けるようにしてください。

Q.前立腺がんの検査はどのくらいのペースで受ければよいのですか?

A.50歳を過ぎたら年に1度はPSA検査を受けましょう。また、ご家族に前立腺がんの方がいる場合は、前立腺がんになりやすいといわれていますので、40歳を過ぎたらPSA検査を受けるようにしましょう。

Q.直腸内触診とはどのように行うのですか?

A.直腸内触診とは、医師が前立腺を触診する検査で、肛門から直腸に指を挿入して行います。直腸の壁越しに前立腺に触れてみて、なにか異常があるかどうかを調べます。
>直腸内触診について

Q.前立腺がんの検査にはどのくらい時間がかかりますか?

A.前立腺がんの検査には、PSA検査、直腸内触診、前立腺MRI検査、経直腸的超音波(エコー)検査、前立腺針生検、CT、全身MRI、骨シンチグラフィーなどがあります。どのくらい時間がかかるのか、入院が必要になるのかなどは、検査によってそれぞれ異なります。検査を受ける前に主治医に確認してください。
>前立腺がんの検査について

Q.PSA値が高かったのですが、確実に前立腺がんなのでしょうか?

A.PSA値は、前立腺がんに限らず前立腺肥大症でも高くなります。PSA値が高いからといって、それだけで前立腺がんと確定することはできません。PSA値が高かった場合(基準値以上)には、直腸内触診や画像検査(経直腸的超音波《エコー》検査、前立腺MRI検査)などを行い、がんが疑われた場合、前立腺針生検を行って確定診断をします。
>PSA検査について

Q.前立腺がんの検査は何歳ごろから受けはじめればよいですか?

A.前立腺がんは高齢者に多い病気です。前立腺がんの危険が高くなるのは50歳ころからで、それ以降は年齢が高くなるにつれて発症頻度も増加していきます。前立腺がんは早期発見に努めることが大切です。早期に発見して適切な治療を行えば完治が期待できる可能性が高まりますので、50歳を過ぎたら年に1度はPSA検査を受けましょう。なお、ご家族に前立腺がんの方がいる場合は、前立腺がんになりやすいといわれていますので、40歳を過ぎたらPSA検査を受けるようにしましょう。
>PSA検査について

Q.前立腺がんの検査では直腸内触診をするのですか?

A.前立腺がんのスクリーニング検査には、大きく分けてPSA検査だけを行う場合と、PSA検査と直腸内触診の両方を行う場合があります。PSA検査を単独で行った患者さんでも、その後、確定診断の前に直腸内触診を行います。前立腺がんの検査の内容は施設によって多少異なりますので、受診の際にあらかじめ確認してみてください。
>直腸内触診について

Q.前立腺がんの検査は痛いのですか?

A.前立腺がんの検査には、PSA検査、直腸内触診、経直腸的超音波(エコー)検査、前立腺MRI検査、前立腺針生検、CT、全身MRI、骨シンチグラフィーなどがありますが、検査によっては多少の痛みを伴うこともあります。検査を受ける前には、痛みを伴う可能性はどの程度なのか、主治医に確認するのがよいでしょう。
>前立腺がんの検査について

Q.私は病期Cと言われましたが、別の病院を受診した友人は病期III期と言われたそうです。病期を表す方法にはいろいろあるのですか?

A.がんの進行度(広がり)によって分類することを病期分類といいます。病期分類の代表的なものには、ABCD分類とTNM分類があります。ABCD分類を用いるかTNM分類を用いるかは医師によって異なります。ABCD分類では、進行度によってA~Dの4段階に分類し、AからDに進むほどがんが進行していることを表します。がんが前立腺に限局している場合は病期A、B、がんが前立腺被膜をこえて進展している場合は病期C、転移がみられる場合は病期Dに分類されます。TNM分類では、「T:原発腫瘍」、「N:リンパ節転移」、「M:遠隔転移」の3つの点から考慮して病期Ⅰ~Ⅳ期に分類されます。また、TNM分類第7版では「T:原発腫瘍」、「N:リンパ節転移」、「M:遠隔転移」「PSA」「G:がん組織像」の5つの点を考慮して分類した、予後分類(病期Ⅰ~Ⅳ期)があります。
>TNM分類について

Q.前立腺がんの診断のながれを教えてください。

A.前立腺がんの検査は、がんの可能性のある人を見つけるスクリーニング検査と前立腺がんを確定するための確定診断に大きく分けることができます。最初に行われるのがスクリーニング検査で、PSA検査や、PSA検査と直腸内触診をセットにした検査が行われます。検査で異常が確認されれば、経直腸的超音波(エコー)検査、前立腺MRI検査、次に確定診断のための前立腺の生検が行われます。組織中にがん細胞が含まれていれば、前立腺がんと診断されます。診断のながれは施設によって多少異なります。検査については主治医に確認してみてください。
>前立腺がんの診断と検査のながれについて

Q.前立腺がんを早期発見することは可能ですか?

A.前立腺がんの早期発見に大きな役割を果たしているのがPSA検査です。PSA検査は、血液中に含まれている前立腺に特異的なたんぱく質(PSA)を調べるもので、PSA値が高いと前立腺がんである可能性が高くなります。PSA検査は精度が非常に高く、優れた検査法といえます。PSAは、わずか1mLの血液で調べることができますから、血糖値やコレステロール値などを調べるための血液検査と合わせて行うこともできます。最近は、健康診断や人間ドックなどでも、PSA検査をオプションとして導入するケースが増えています。

Q.PSAとは何ですか?

A.PSAは「Prostate Specific Antigen」の頭文字をとったもので、日本語では前立腺特異抗原と訳されます。PSAは前立腺に特異的なたんぱく質の一種です。
>PSA検査について

Q.PSA検査はどこで受けることができるのですか?

A.PSA検査を希望する場合は、かかりつけの病院や泌尿器科にご相談ください。また、最近は、医療機関に限らず各市町村や企業で実施している健康診断や人間ドックなどでも、オプションとしてPSA検査が広く採用されています。住民票のある自治体や勤務先の健康保険組合などに問い合わせてみてください。

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治療

Q.早期前立腺がんと診断され、手術を受けました。手術後の再発率はどのくらいですか?

A.根治を目的にして前立腺を摘出しても、術後5年以内に25~35%が再発してしまいます。しかし、この再発とは、術後低下したPSA値(0.1ng/mL未満)が再上昇を始めた(0.2ng/mL以上)というもので、画像診断では再発の場所が特定されない「PSA再発」です。これが進行すると、がん病巣がCT検査や骨シンチグラフィーなどで明らかに見えるようになり、「臨床的再発」となりますが、それでもすぐには症状としては現れないことがあります。

Q.手術はできないと言われました。一体何からはじめればよいのでしょう?

A.もし、手術ができない理由がよく分からない場合は、勇気を出して、もう1度、医師に説明を求めてください。悲観的になる必要はないかもしれません。ごく初期の場合やPSAが10ng/mL以下で直腸内触診や超音波(エコー)検査、前立腺MRI検査では確認できないような小さながんの場合、経過を観察することがあります。こういう場合も手術はできないと言われるでしょう。ただ、約15%の人には早く進行するがんがみられるので、必ず医師の指示通り、定期検査を受けてください。手術以外の積極的な治療法としては、主に内分泌療法と放射線療法があります。手術はできなくても、どの治療法がよいかは、がんの病期や年齢、全身状態、副作用などを考慮して選択されます。そのためにも、納得できるまで主治医と相談し、必要なら他の専門家にセカンドオピニオンを求めてみるのもよいのではないでしょうか。

Q.前立腺がんと診断されたら、必ず治療しなければならないのですか?

A.最近は、医師が病状や治療法についてさまざまな選択肢とその効果や副作用など十分な情報を患者さんに提供し、患者さんの同意のもとで治療方針を決定していくことが一般的になっています。(インフォームド・コンセント:十分な説明に基づく同意といいます)。その十分な情報を理解したうえで、患者さんが治療による副作用よりも生活の質(QOL)を重視される場合は、すぐに治療を開始しないという選択肢もあります。とくに、前立腺がんは、高齢者が発症することが多いこと、初期の進行がゆるやかで、比較的おとなしい性質のがんであるなどの特徴から、治療しなくても命や日常生活に支障のない場合があります。このような場合は、すぐに治療を開始せず、経過を観察することが選択肢の一つとなっています。

Q.治療はもう始まっているのですが、このタイミングでのセカンドオピニオンは、もう遅いでしょうか?

A.いいえ、決して遅くはありません。単純に治る・治らないだけでなく、最善を尽くして納得できる治療を受けることは、患者さんの権利です。現在の治療について、ほかの専門家の意見を知りたいと思われたら、遠慮せずに主治医に伝えましょう。そして、検査結果や進行中の治療に関する資料と、できれば、現在の治療について主治医が書いた紹介状をもらって、別の病院で相談なさってください。もし、あなたの主治医が抵抗するようなら、あなたへの治療をその医師にゆだねる必要はありません。また、セカンドオピニオンの結果、現在の治療法に確信がもてれば、あなたと主治医の信頼関係は深まり、よりよく治療に専念できるでしょう。また、セカンドオピニオンを求めるときは、疑問点や理由などを、はっきりと伝えられるように準備しておくとよいでしょう。

Q.前立腺がんは薬物療法で根治しますか?

A.薬物療法としては、主に内分泌療法が行われます。これは、男性ホルモンによって生長する前立腺がんの性質を利用して、男性ホルモンを遮断したり抑制したりして、がんを小さくしようというものです。内分泌療法は、がんが前立腺の被膜の中に留まっている、または、被膜をこえて進展しはじめている段階や、がんがリンパ節やほかの臓器に転移している段階など、すべての進行段階で単独療法、放射線との併用療法として行われます。ほかの臓器に転移している段階では、根治の可能性は低くなります。しかし、がんと共存して生命を全うすることは十分に期待できます。

Q.手術はできないと言われました。もう、治らないのでしょうか?

A.がん治療の基本は、一般的には、可能なら手術でがん病巣をとり除き治すことです。前立腺がんでもその通りですが、進行の遅いおとなしいがんである場合も多く、平均の発症年齢が高いことから、必ずしも根治という意味で「治す」必要がない場合もあります。肥大症の治療などで偶然、がんが見つかったものの、がんが進行・悪化するまでには何年もかかるため、がんとは関係なく亡くなる場合もあるからです。ほかに手術ができないのは、がんが進行して前立腺外に転移している場合や、高齢のため、あるいはほかに持病があって全身状態がよくない場合です。全摘除術を行っても再発する可能性がある一方、手術せずに放射線療法や内分泌療法でコントロールしていける可能性もあります。また、最近は、進行がんに対して内分泌療法を行い、がんを小さくしてから放射線療法を行うケースも増えてきています。

Q.内分泌療法(ホルモン療法)による副作用はありますか?

A.内分泌療法(ホルモン療法)では、男性ホルモンの分泌量が著しく低下したり、作用が抑えられてしまうため、多くの患者さんに勃起障害が起こります。そのほか、ほてりなどがみられる場合もあります。薬の種類により副作用も異なりますので、どの薬を使用するのかは主治医とよくご相談ください。

Q.前立腺がんの手術後、尿漏れが起こるというのは本当ですか?

A.手術を受けた患者さんの5~10%程度が、手術後に尿漏れを訴えます。しかし、尿漏れは「骨盤底筋体操」を行うことである程度の改善が期待できます。これは骨盤底筋を鍛えながら、尿道括約筋の機能回復をはかる体操です。毎日続けることで、尿道や肛門が引き締まり、しだいに尿漏れの頻度は少なくなっていくはずです。
>骨盤底筋体操について

Q.高齢なのですが、治療を受けるのに体力がもつでしょうか?

A.前立腺がんの治療法には、大きく分けて手術療法、放射線療法、内分泌療法があります。患者さんの年齢は、治療法を選択する際の目安のひとつとなりますが、年齢だけでなく、全身状態、がんの進行度(広がり)や悪性度などを考慮して、治療法を決定することになります。どのような治療を受けるかは、主治医とよく話し合ってから決めるようにしましょう。

Q.内分泌療法ではどのくらいのペースで薬を投与するのですか?

A.LH-RH(GnGH)アゴニストは持続型の注射剤で、効果が4週間持続するタイプと、3ヵ月間持続するタイプの2種類あります。効果が4週間持続するタイプを用いる場合は4週間おきに、3ヵ月間持続するタイプを使用する場合は12~13週間おきに受診して、皮下注射を行います。どちらのタイプも長期にわたって効果が持続するので、頻繁に通院せずにすみます。LH-RH(GnRH)アンタゴニストは4週間おきに受診して皮下注射します。抗男性ホルモン剤は服用する薬剤によって異なりますが、1日1~3回内服します。抗男性ホルモン剤は、単独で用いられる場合と、LH-RHアゴニスト、LH-RHアンタゴニストや精巣摘除術と併用する場合があります。

Q.抗がん剤による副作用はありますか?

A.抗がん剤は、がん細胞に限らず正常な細胞にもダメージを与えますので、内分泌療法とは異なる副作用がみられます。抗がん剤の種類によって副作用の特徴も異なりますので、抗がん剤治療を始める前に主治医とよくご相談ください。抗がん剤の副作用の中で特に重要なのは骨髄抑制です。骨髄抑制が起こると、白血球や赤血球、血小板などの血液細胞が減少し、感染症にかかりやすくなる、貧血が起きやすくなる、出血しやすくなるといった状態になります。そのほか、脱毛、吐き気、嘔吐、下痢、便秘などが現れる場合もあります。吐き気や嘔吐、下痢、便秘などの副作用は、薬である程度コントロールすることができます。

Q.手術をしたのですが、尿漏れが治りません。尿漏れを改善する方法というのはありますか?

A.前立腺がんの治療後の尿漏れ改善に有効なのが、骨盤底筋群を強化する「骨盤底筋体操」です。骨盤底筋群は、恥骨と尾骨との間にハンモックのように張っている筋肉で、膀胱や腸を支えています。ここを強化することによって、尿道の締りがよくなり、尿漏れが改善されます。毎日続けることで、尿道や肛門が引き締まり、しだいに尿漏れの頻度は少なくなっていくはずです。
>骨盤底筋体操について

Q.前立腺がんの内分泌療法にはどのような薬が使われるのですか?

A.内分泌療法の薬物療法では、「LH-RH(GnRH)アゴニスト」、「LH-RH(GnRH)アンタゴニスト」、「抗男性ホルモン剤」、「女性ホルモン剤」が用いられます。LH-RHアゴニストは、下垂体から分泌されるLH-RH(GnRH:性腺刺激ホルモン放出ホルモン)とそっくりな構造をした薬で、精巣から男性ホルモン(テストステロン)が分泌するのを抑えます。精巣は、下垂体から分泌されるLH(Gn:性腺刺激ホルモン)の刺激を受けて、男性ホルモンを分泌します。LHは、LH-RHの刺激を受けて分泌が促されることから、LH-RHアゴニストを投与してLHの分泌を抑え続けると、精巣が刺激されなくなります。その結果、男性ホルモンが分泌されなくなり、前立腺がんの縮小効果が得られます。LH-RHアンタゴニストは、下垂体前葉にあるLH-RH受容体を直接的に阻害することにより、下垂体からのLHの分泌を抑制します。その結果、男性ホルモンが分泌されなくなり、前立腺がんの縮小効果が得られます。抗男性ホルモン剤は、前立腺がん細胞内において、ジヒドロテストステロンがアンドロゲン受容体と結合するのを阻害することにより、男性ホルモンの作用発現を抑え、がん細胞を縮小させます。女性ホルモン剤(エストロゲン剤)には、精巣摘除術およびLH-RHアゴニストと同じく男性ホルモンの分泌を抑制する働きがあります。
>内分泌療法について

Q.放射線療法による合併症はありますか?

A.外部照射療法では前立腺の周りにある直腸や尿道などにも放射線があたるため、勃起障害やトイレが我慢できない、トイレが近い、排便後もすっきりしない、といった症状が起こることがあります。組織内照射療法では、主に尿道に放射線が当たるため、トイレが我慢できない、トイレが近いなどの尿道症状が起きることがあります。

Q.前立腺がんの手術により勃起障害になるのですか?

A.手術時に勃起機能に関係する神経に傷がついてしまったり、やむを得ず神経を取り除くことになった場合に、勃起障害が起こることがあります。しかし、勃起不全治療剤などで治療することができます。勃起障害が起こる可能性、また、勃起障害の治療については、手術を行う前に主治医に聞いてみてください。

Q.前立腺がんの放射線療法について教えてください。

A.放射線療法とは、前立腺に放射線をあててがん細胞を死滅させる方法です。体の外から放射線を照射する「外照射療法」と前立腺内に入れた密封小線源放射線源から放射線を照射する「組織内照射療法」があります。限局している前立腺がんが放射線療法の対象となります。
>放射線療法について

Q.前立腺がんを治療するには入院しなくてはいけませんか?

A.入院が必要かどうかは治療法によって異なります。治療については主治医とよくご相談ください。

Q.内分泌療法(ホルモン療法)はどのような場合に行われるのですか?

A.内分泌療法(ホルモン療法)は、男性ホルモンの分泌や働きを抑えて、前立腺がんを縮小させる治療法です。内分泌療法には、男性ホルモンを分泌する精巣を摘除する精巣摘除術(去勢術)と薬物療法があります。ホルモン療法は、主にがんが前立腺を包む被膜をこえて広がっている局所浸潤がん、前立腺周囲の臓器に転移している周囲臓器浸潤がん、遠くの臓器に転移している転移がんなどが対象になります。局所浸潤がんの場合は、内分泌療法単独、もしくは放射線療法と組み合わせて治療が行われますが、周囲臓器浸潤がんや転移がんに対しては、主として内分泌療法単独で治療が行われます。がんが、前立腺にとどまる限局がんの場合も、治療効果を高める目的で、手術療法や放射線療法の前か後に、内分泌療法を行うことがあります。手術療法や放射線療法の前に行う場合を「ネオアジュバント療法」、後に行う場合を「アジュバント療法」といいます。
>内分泌療法について

Q.前立腺をとってしまったら、何か障害が起こりませんか?

A.前立腺には、前立腺液を分泌する働きがあります。前立腺液は、精液の一部となり、主な働きは「精子を保護する」、「精子に栄養を与える」、「精子の運動機能を助ける」になります。手術により取り除いた後は、これらの働きがなくなります。また、手術後の合併症として尿漏れや勃起障害などがあります。尿漏れについては「骨盤底筋体操」である程度の改善が期待でき、また、勃起障害については勃起不全治療剤で改善することがあります。手術の前に先生とよくご相談ください。
>骨盤底筋体操について

Q.前立腺がんの抗がん剤治療について教えてください。

A.抗がん剤には、がん細胞の増殖を抑えてがんを死滅させる効果があります。一般的に前立腺がんにおいては、ほかの治療法では効果が得られない進行したがんに対して抗がん剤を用います。抗がん剤を単独または併用して投与することによって、がんの縮小効果が認められることがありますが、脱毛、吐き気、下痢、骨髄抑制などの副作用があらわれることもあります。

Q.前立腺がんになると必ず手術をしなければならないのでしょうか?

A.前立腺がんを治療するために、必ず手術を行うわけではありません。前立腺がんの治療法には、手術療法、放射線療法、内分泌療法(ホルモン療法)などがあります。がんの進行の程度や悪性度、全身状態、他の重篤な疾患の有無、年齢などを考慮し、患者さんやご家族と相談しながら最適な治療法を決定します。手術療法は、がんを前立腺ごと切除するもので、完治が期待できるのは、がんが前立腺にとどまる限局がんの場合です。がんが前立腺を包む被膜を越えて広がっていたり、他の臓器に転移している場合は、手術よりも放射線療法や内分泌療法(ホルモン療法)の方が適しています。また、前立腺がんの手術には、3~4時間かかるため、手術を受けるには体力を要します。患者さんの全身状態が悪かったり、年齢が70歳を超えている場合は、限局がんでも、他の治療法を検討することになります。

Q.前立腺をとってしまうと女性のようになるのでしょうか?

A.前立腺は男性ホルモンの支配を受けていますが、男性ホルモンを作る働きはないため、前立腺をとってしまっても女性のようになることはありません。男性ホルモンは主に精巣(睾丸)から産生されます。

Q.前立腺がんが治る可能性はあるのですか?

A.前立腺がんの進行の程度、悪性度によって異なります。がんの性質がおとなしく、PSA値が10ng/mL以下、グリーソンスコア6以下で前立腺内にとどまっている限局がんであれば、がんを前立腺ごと摘除する前立腺全摘除術や放射線療法によって、完治が期待できます。一方、がんの性質がおとなしくなかったり、PSA値が高かったり、がんが前立腺を包んでいる被膜を越えて広がっていたり、他の臓器に転移している場合は、根治の可能性は低くなりますが、内分泌療法や放射線療法により、がんと共存して生命を全うすることも期待できます。前立腺がんは早期発見が大切です。50歳になったら定期的にPSA検査を受けましょう。

Q.前立腺がんと男性ホルモンは関係があるのですか?

A.前立腺は、男性ホルモンの作用によって生長します。前立腺がんの発生にも男性ホルモンが関わっており、年齢を重ねるにつれて、ホルモンのバランスが変化し、前立腺がんができやすくなるのではないかと考えられています。なお、内分泌療法(ホルモン療法)は、前立腺がんが男性ホルモンの作用により大きくなるという性質を利用して、男性ホルモンの分泌や働きを抑えることにより、前立腺がん細胞の増殖を抑制する治療法です。

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その他

Q.前立腺肥大症を治療すれば、前立腺がんにはならないのですか?

A.前立腺肥大症は良性の腫瘍で、前立腺がんは悪性の腫瘍ですが、医学的にはまったく別の病気です。ですから、治療法にもよりますが、肥大症を治療しても、直接、がん予防になるとは限りません。肥大する場所(内腺)と、がんができやすい場所(外腺)が異なるため、内腺のみを切除する前立腺肥大症の手術では、がんになる可能性はなくなりません。

Q.前立腺がんの予後について教えてください。

A.予後は、前立腺がんが発見されたときの病期やがんの悪性度に最も大きく影響されます。前立腺がんの多くはゆっくりと進行しますが、悪性度が高いと、さまざまな治療を行っているにも関わらず、進行してしまいます。早期に発見された場合は治療選択肢も多く、根治率や適切にコントロールできる可能性も高まります。一方、がんが進行するにつれ、治療選択の範囲が狭まり、根治も難しくなっていきます。また、とくに発症年齢が高いがんですから、治療法を決定するうえで、病期だけでなく、それぞれの患者さんの年齢や合併症などの全身状態が大きな要因となります。

Q.前立腺がんの予防に効く食べ物はありますか?

A.前立腺がんは動物性の高脂肪・高コレステロールの食事をとり続けることで、発症しやすくなると考えられています。逆に、野菜や魚、穀類を中心とした昔ながらの日本の食事は、予防効果があるといわれています。とくに、豆腐や味噌、醤油など、日本食には欠かせない大豆に含まれるイソフラボンは、さまざまながんに対する予防効果が期待されていますが、女性ホルモンに似た働きもあるため、前立腺がんに対する効果に優れているようです。ほかには、ビタミンAを多く含むニンジンなどの緑黄色野菜、抗酸化作用の高いリコピンを含むトマトなどもよいといわれています。

Q.PSAという物質は男性にしかないのですか?

A.従来、PSA(前立腺特異抗原)は、その名前が示すとおり、男性にしかない前立腺だけでつくられると考えられていました。しかし、測定器の性能が高まり、ごく微量でも検出できるようになると、女性の血液中からもPSAが検出される場合があることが分りました。それでも、PSAは前立腺に異常があると敏感に数値が上がりますから、がんを検知する第一歩として、また、治療中や治療後の経過をみるのに、とても有用なマーカーなのです。

Q.前立腺はなぜ男性にしかないのですか?

A.前立腺は、男性の生殖機能に関わる内性器(体内にある生殖器官)ですから、男性にしかありません。その役割は、精子に栄養を与え、保護する前立腺液をつくることです。ちなみに、男性には前立腺がある場所に、女性には子宮と膣があります。

Q.最近、尿の回数が多くなりました。これは前立腺がんの症状ですか?

A.健康な成人男性の場合、通常の1日の排尿回数は5~6回ですが、8回以上になると頻尿と考えられています。頻尿も前立腺がんの初期症状の一つとして考えられます。ただし、前立腺がんでなくても、腎臓や膀胱などの他の病気が原因になっている場合もありますので、一度、泌尿器科で検査を受けることをお勧めします。

Q.背が高い(185cm以上)と前立腺がんになりやすい、というのは本当ですか?

A.前立腺がんになりやすい人について傾向を探ろうと、体格や人種、食事内容など、さまざまな疫学的調査が行われています。その中には、背が高い人は前立腺がんになりやすいとする報告もないわけではありませんが、それを否定する報告もあり、長身と前立腺がんの関連については確立した見解がありません。50歳以上の3人に1人は前立腺の潜在がん(ほかの原因で死亡した人から偶然発見されるがん)であると言われるほど、大きく年齢に関わる病気です。したがって、身長にかかわらず、食事や運動など健康的な生活を心がけ、50歳からは検診を受けるようにしましょう。

Q.不安で胸が押しつぶされそうです。先生は忙しそうですし、誰に相談すればよいですか?

A.あなたの命に関わるかもしれないことですから、大きな不安は無理もありません。もし、治療や予後について分からないことがあれば、やはり主治医に質問するのが一番です。忙しそうだからと遠慮する代わりに、質問を箇条書きにしておくなど、工夫してみましょう。医師との架け橋でもある看護師に相談したり、医師に、診療時間外で相談時間がとれないかを尋ねてみてもよいのではないでしょうか。しかし、医師から聞くべきことはすべて聞けたとしても、押しつぶされそうな不安が消えないこともあるでしょう。その場合は、心療内科医や精神科医、臨床心理士など、心のケアの専門家に相談することも考えられます。また、がん患者さんやその家族同士のさまざまなサポート団体に参加することで、同じ経験をしているからこそ、悩みや不安を分かち合い、支えあえることもあります。このような団体は、インターネットや書籍などでも見つかりますので、覗いてみてください。

Q.私は前立腺がんですが、してはいけない運動などはありますか?また、逆にお勧めの運動はありますか?

A.身体を動かすことにより、免疫力を高める、便秘を防ぐ、血行をよくするなどの効果が得られるため、中高年の方の適度な運動は、生活習慣病の予防、あるいは治療法のひとつとしても勧められます。ただし、痛みがあるときなどの運動は禁物です。重いものを持ったり、瞬間的に力むような運動も避けるべきです。自分の体力を十分把握して、決して無理はしないことです。適切な運動量については主治医と相談して決定するようにしましょう。なお、前立腺がんの治療による主な合併症のひとつに尿漏れがありますが、これを改善するには骨盤底筋を強化する「骨盤底筋体操」が有効です。毎日続けることで、尿道や肛門が引き締まり、しだいに尿漏れの頻度は少なくなっていくはずです。
>骨盤底筋体操について

Q.前立腺肥大症がひどくなっても、前立腺がんにはならないと聞きましたが、前立腺肥大症の人が前立腺がんを併発することはありますか?

A.前立腺がんも前立腺肥大症も、加齢とともに増えてくる病気です。前立腺肥大症が前立腺がんになることはないと考えられていますが、2つの病気が併発することはあります。

Q.前立腺がんになりやすいのはどのようなタイプの人ですか?

A.前立腺がんになりやすい人のタイプとして、年齢が50歳以上、ご家族に前立腺がんの方がいる、欧米型の食生活を送っている、などが挙げられています。

Q.前立腺がんと診断されましたが、日常生活で注意することはありますか?

A.前立腺がんにおいても、他の病気と同様に規則正しい生活を送り、適度な運動をすることが大切です。食生活においては、香辛料、刺激物、アルコールなどのとりすぎはあまりよくありません。一方、トマト、スイカなどに含まれる赤色成分カロチノイドのリコピンや大豆に含まれるイソフラボンが、がん細胞の増殖を抑制する働きをもつ可能性が示されています。また、前立腺がんには骨に転移しやすいという性質があり、骨に転移すると骨折を起こしやすくなります。骨への転移がある場合は、骨折に対する十分な注意が必要です。

Q.前立腺がんは痛いのですか?

A.前立腺がんは、初期の段階では自覚症状がほとんどなく、痛みもありません。前立腺がんが進行して尿道を圧迫するようになると、排尿時あるいは射精時に痛みを感じる場合もあります。また、尿閉(尿が出なくなる状態)になると、尿が腎臓から膀胱へ流れず腎臓にたまるため、背中が痛くなることがあります。前立腺がんがさらに進行して体の表面のリンパ節に転移すると、その部分が腫れたり痛くなったりします。骨に転移すると臀部や腰の骨の痛みを伴うことがあります。

Q.前立腺がんにならないために日常生活で注意することは?

A.前立腺がんだけではなくすべてのがんに共通しますが、免疫力を高めたり、全身の血流をよくすることが、がんの予防にはよいでしょう。そのためには、食べ過ぎや過度の飲酒は避け、とくに脂肪の摂取は控えめにし、緑黄色野菜を多くとるなど、バランスのとれた食生活を送ること、また、適度な運動を心がけ、ストレスをためないようにすることが大切です。

Q.前立腺がんになると性機能は失われるのですか?

A.前立腺がんが大きくなると、尿道や膀胱の出口を圧迫するため、排尿が困難になるとともに性機能に支障をきたす場合があります。また、治療による副作用で性機能障害を発症することがあります。勃起障害が起こった場合は、勃起不全治療剤などにより治療をすることができます。性機能障害に関する治療については、主治医とよく相談してみましょう。

Q.最近尿が出にくくなりましたが、前立腺がんの可能性はありますか?

A.前立腺がんでは、前立腺にできたがんがある程度大きくなると尿道を圧迫するようになり、尿が出にくくなるといった症状がみられることがあります。前立腺肥大症でも、肥大した前立腺が尿道を圧迫するために同じような症状があらわれます。尿が出にくいなど気になる症状がある場合には、泌尿器科を受診して検査を受けることが大切です。

Q.前立腺がんになるとどのような自覚症状があらわれますか?

A.前立腺がんは、早期には自覚症状はほとんどあらわれません。進行すると、がんが尿道や膀胱を圧迫して、尿が出にくい、排尿時に痛みがある、尿や精液に血液が混じるなどの症状があらわれることがあります。また、骨に転移すると腰や肩などが痛くなることもあります。自覚症状がなくても、前立腺がんを早期に発見するために、50歳を過ぎたら年に1度はPSA検査を受診してください。

Q.前立腺がんは転移しますか?

A.前立腺がんは、進行するとリンパ節や臀部、腰の骨によく転移します。もちろん体内のほかの部位にも転移します。骨に転移した場合には、骨痛があらわれることがあります。

Q.父が前立腺がんで亡くなりました。私もなりやすいのでしょうか?

A.前立腺がんの発症と家族歴については、以前から研究が進められていますが、欧米ではすべての前立腺がん患者のうち、遺伝性のものが5~10%という報告があります。たとえば、父親、兄弟に前立腺がんの患者さんが1人いるとリスクが2倍、2人いるとリスクが5倍になるといわれています。家族に前立腺がんの患者さんがいる人では、若い年齢で発症することもありますので、40歳ぐらいからPSA検査を受けることが勧められます。

Q.辛いものが大好きです。前立腺がんの治療中はやはり刺激物はいけませんか?また、食べたらよいものなどはありますか?

A.前立腺の病気では、香辛料、刺激物、アルコールなどのとりすぎはあまりよくありません。トマト、スイカなどに含まれる赤色成分カロチノイドのリコピンが、前立腺がんの増殖を抑制する可能性があるという報告がいくつかあります。また、よく言われていますが、乳酸菌、発酵食品なども免疫力を高めるために勧められる食品です。さらに、大豆食品を多くとる習慣のあるアジア人は、欧米人に比べて前立腺がんや乳がんの発生が少ないことから、大豆製品の効果を検証する試験がいくつか行われ、大豆に含まれるイソフラボンが、がん細胞の増殖を抑制する働きをもつ可能性が示されています。NCI(米国国立がん研究所)も、イソフラボン、リコピン、セレン、ビタミンDおよびEなどが、前立腺がんの細胞増殖を抑制するのに有効である可能性があると発表し、さらに検証するための研究を促しています。

Q.前立腺がんの分類の方法について教えてください。

A.前立腺がんの病期分類にはABCD分類とTNM暈類があります。その進行の度合いによって、限局がん(がんが前立腺内にとどまっている)、局所浸潤がん(前立腺の周囲に浸潤している)、周囲臓器浸潤がん(精嚢や膀胱など前立腺周囲の臓器に達している)、転移がん(遠くの臓器、骨盤内リンパ節、骨に転移している)に分類されます。また、がん細胞の悪性度を判断するのには「グリーソン分類(グリーソン・スコア)」が用いられます。TNM分類、グリーソンスコア、PSA値によって、患者さんの予後を診断します。
>前立腺がんの分類について

Q.普段から揚げ物など油っこい食事が多いのですが、前立腺がんの発症と食生活とは関係あるのでしょうか?

A.近年、日本で前立腺がんの罹患率が高くなっているのは、日本人の食生活の欧米化が一因であるともいわれています。明確に証明されてはいませんが、動物性脂肪、食用油、赤身肉、乳製品の摂取が多く、野菜類、食物繊維の摂取が少ない食生活を送っている人と前立腺がんとの関連が指摘されています。他のがんの予防と同じように、前立腺がんにおいてもバランスのとれた食生活を心がけることはとても大切です。

Q.前立腺がんと他のがんとはどう違うのですか?

A.前立腺がんは男性特有の病気です。前立腺がんは高齢者のがんといわれ、加齢とともに前立腺がんの発症頻度は増加します。また、比較的進行が遅いという特徴があり、がんがあっても知らずに人生を全うする人もいます。前立腺がんは男性ホルモン依存性であり、男性ホルモンによってがんが増殖します。そのため内分泌療法により男性ホルモンをの分泌または働きを抑えることにより前立腺がんは萎縮します。

Q.前立腺にはどのような働きがあるのですか?

A.前立腺には、前立腺液を分泌する働きがあります。前立腺液は精液の一部となるもので、大きく分けて3つの役割があると考えられます。1つ目は精子を保護する役割です。2つ目は精子に栄養を供給する役割です。そして、3つ目が精子の運動機能を助ける役割です。ただし、前立腺の働きについては完全に解明されているわけではなく、よく分からないこともたくさんあります。

Q.女性も前立腺がんになるのですか?

A.前立腺は男性の生殖器官のひとつで、男性だけにある臓器です。女性にはありませんので、女性が前立腺がんになることはありません。

Q.前立腺肥大症から前立腺がんになることはありますか?

A.前立腺肥大症は良性の病気であるのに対し、前立腺がんは悪性の病気であり、これらはまったく別の病気であると考えられています。したがって、前立腺肥大症から前立腺がんに進むことはないと考えられます。

Q.前立腺がんの患者さんは日本にどれくらいいるのですか?

A.2012年のデータでは、1975~1979年(年平均)に前立腺がんを発症した患者さんは3,000人程度でしたが、2020~2024年(年平均)には前立腺がん罹患数は105,800人となり、男性がんのうち、第一番目の罹患数になると予測されています。また、前立腺がん死亡数は、2020~2024年(年平均)には14,700人となり、2000年の約1.8倍になると予測されています。

Q.若い人と高齢の人ではどちらが前立腺がんになりやすいのでしょう?

A.年齢が高くなるにつれて、前立腺がんを発症する人の割合が高くなっていきます。特に50歳を過ぎるころより前立腺がんの患者数は増加します。20歳代や30歳代で前立腺がんが発症することもまったくないわけではありませんが、若い人が前立腺がんを発症するのは、まれなケースといえるでしょう。

Q.前立腺はどこにありますか?

A.前立腺は栗のような形をした臓器で、膀胱の直下にあり、尿の通り道にあたる尿道の周りを取り囲んでいます。前立腺の一部が直腸と接しているので、肛門から指を挿入して調べる「直腸内触診」という検査を行うと、直腸の壁越しに前立腺を指で触れることができます。前立腺は、尿道の周りにある「内腺」と、その内腺を覆うようにしてある「外腺」に大きく分けられます。その構造をミカンにたとえるなら、実の部分に相当するのが内腺で、皮の部分にあたるのが外腺です。前立腺は、生まれたときにはわずか1gほどの重さしかありませんが、精巣から分泌される男性ホルモンの働きによって発達していきます。成人になると、前立腺は直径が約4cm、重さが15gから20g程度に成長します。

Q.前立腺肥大症と前立腺がんはどう違うのですか?

A.前立腺肥大症は、前立腺の病気のなかでもっとも多くみられる病気です。良性前立腺腫大(Benign Prostate Enlargement, BPE)という、過剰に成長した前立腺組織に尿道が圧迫され狭くなることにより尿の流れが妨げられる状態に、膀胱下(尿道)閉塞(Bladder Outlet Obstruction,BOO)、下部尿路症状(Lower Urinary Tract Symptoms,LUTS)が絡み合うことで、さまざまな排尿障害があらわれます。尿がでにくい、トイレの回数が多くなる、尿をしたあとすっきりしない、などの自覚症状(下部尿路症状)があらわれます。排尿に関連する症状があらわれるようになると日常生活に支障をきたすこともあるため、適切な治療が必要になります。しかし、なかには前立腺腫大があっても症状がみられない人もいます。一方、前立腺がんは、主に外腺(尿道から離れた部分:辺縁領域)に発生するため、早期では自覚症状はあらわれません。がんが進行し、尿道や膀胱を圧迫するようになると、排尿時の症状や血尿などがあらわれるようになりますまた、良性前立腺腫大は前立腺がんに進むことはないと考えられています。

Q.前立腺がんの患者さんは増えているのですか?

A.2012年のデータでは、1975~1979年(年平均)に前立腺がんを発症した患者さんは3,000人程度でしたが、2020~2024年(年平均)には前立腺がん罹患数は105,800人となり、男性がんのうち、第一番目の罹患数になると予測されています。また、前立腺がん死亡数は、2020~2024年(年平均)には14,700人となり、2000年の約1.8倍になると予測されています。

Q.前立腺がんかも・・・と悩んでいますが泌尿器科に行くのは抵抗があります。泌尿器科でないと駄目でしょうか?

A.すでに何らかの自覚症状があって、前立腺肥大症や前立腺がんではないかと心配している場合は、すぐに泌尿器科に相談するほうがよいでしょう。かかりつけの病院がある場合は、そこから紹介してもらう方法もあります。また、ご家族に前立腺がんの方がいたり、年齢的に気になるようであれば、前立腺がん検診(PSA検査)を受診してみましょう。PSA検査は前立腺がんの早期発見のための最も有効な手段です。最近ではPSA検査を実施している自治体も増えており、集団検診の通常の血液検査項目に加え、オプションで行うことが可能です。PSA検査を希望される場合は、市町村の集団検診や人間ドック検診などに問い合わせてみましょう。

Q.私の父はLH-RHアゴニストを投与中です。今度、介護老人保健施設に入所することになりましたが、LH-RHは高額治療のため老健での受け入れはできないと言われました。老健に入所する場合は、LHRHの投与をやめないといけないのでしょうか?

A.老健施設に入所していても、外来化学療法加算の届出を行っている医療機関においては、治療を継続して受けることができます。詳しくはお近くの医療機関に問い合わせてみてください。

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