日常生活
Q体毛が濃く、顔は脂分が多いので、男性ホルモンが多いと思います。男性ホルモンが多い人は、前立腺がんになりやすいと聞きますが、頻繁に検査を受けたほうがよいでしょうか?
体毛の濃さや顔の脂分の多いのは男性ホルモンが多いからということはありえますが、男性ホルモンが減り始める50歳代に前立腺がんになりやすくなることからも分かるように、がんの発生は、単純な男性ホルモンの量の多さではなく、ホルモンバランスの変化によると考えられます。ですから、ご相談の内容に関しては、特別に頻繁な検査が必要なケースとは考えられませんが、ご心配でしたら、50歳未満であっても、検査を受けてみるとよいのではないでしょうか。異常がなければ、年1回の検査を続けるだけで十分だと思われます。
Q前立腺がんの予防に効く食べ物はありますか?
前立腺がんは動物性の高脂肪・高コレステロールの食事をとり続けることで、発症しやすくなると考えられています。逆に、野菜や魚、穀類を中心とした昔ながらの日本の食事は、予防効果があるといわれています。とくに、豆腐や味噌、醤油など、日本食には欠かせない大豆に含まれるイソフラボンは、さまざまながんに対する予防効果が期待されていますが、女性ホルモンに似た働きもあるため、前立腺がんに対する効果に優れているようです。ほかには、ビタミンAを多く含むニンジンなどの緑黄色野菜、抗酸化作用の高いリコピンを含むトマトなどもよいといわれています。
Q私は前立腺がんですが、してはいけない運動などはありますか?また、逆にお勧めの運動はありますか?
身体を動かすことにより、免疫力を高める、便秘を防ぐ、血行をよくするなどの効果が得られるため、中高年の方の適度な運動は、生活習慣病の予防、あるいは治療法のひとつとしても勧められます。ただし、痛みがあるときなどの運動は禁物です。重いものを持ったり、瞬間的に力むような運動も避けるべきです。自分の体力を十分把握して、決して無理はしないことです。適切な運動量については主治医と相談して決定するようにしましょう。
なお、前立腺がんの治療による主な合併症のひとつに尿漏れがありますが、これを改善するには骨盤底筋を強化する「骨盤底筋体操」が有効です。毎日続けることで、尿道や肛門が引き締まり、しだいに尿漏れの頻度は少なくなっていくはずです。
骨盤底筋体操について
Q前立腺がんと診断されましたが、日常生活で注意することはありますか?
前立腺がんにおいても、他の病気と同様に規則正しい生活を送り、適度な運動をすることが大切です。食生活においては、香辛料、刺激物、アルコールなどのとりすぎはあまりよくありません。一方、トマト、スイカなどに含まれる赤色成分カロチノイドのリコピンや大豆に含まれるイソフラボンが、がん細胞の増殖を抑制する働きをもつ可能性が示されています。また、前立腺がんには骨に転移しやすいという性質があり、骨に転移すると骨折を起こしやすくなります。骨への転移がある場合は、骨折に対する十分な注意が必要です。
Q前立腺がんにならないために日常生活で注意することは?
前立腺がんだけではなくすべてのがんに共通しますが、免疫力を高めたり、全身の血流をよくすることが、がんの予防にはよいでしょう。そのためには、食べ過ぎや過度の飲酒は避け、とくに脂肪の摂取は控えめにし、緑黄色野菜を多くとるなど、バランスのとれた食生活を送ること、また、適度な運動を心がけ、ストレスをためないようにすることが大切です。